概要
スクリーンインキとは、スクリーン印刷に使用されるためのインキのことです。
スクリーンインキは比較的高粘度な擬塑性流動で 印刷法としてインキ転移性が高いため、インキ膜が厚く、転移量のコントロールにより濃度域が広くなり、重厚感に優れた印刷皮膜となります。又 あらゆる乾燥方式を応用することができ、幅広いバインダーの選定により広範囲にわたる被印刷体への適応、及び高度な皮膜性能を確保することが出来ます。
組成
スクリーンインキの組成としては、下記の通りです。
着色剤
耐候性、耐光性、耐溶剤性、耐可塑剤性、耐熱性、耐薬品性を考慮する必要があり、耐性の良い高級顔料が使用されています。
樹脂
被印刷体への接着及び用途面から選定されます。
溶剤
インキの版上安全性から沸点として120~240℃くらいで一般に高沸点溶剤が使用されています。
補助剤
消泡剤、ワックス類、レベリング剤、チキソトロピー剤、安定剤等
- 二液反応型インキは使用直前に、添加剤を指定重量比で混合し可使時間内で使用します。
- UV硬化型インキは無溶剤であり、UV硬化型素材が樹脂と溶剤相当として混合ざれています。
但し、顔料により紫外線が吸収され硬化性に影響されるため濃度に制約が生じます。
スクリーンインキの選定基準
ポリエチレン、ポリプロピレン | ウレタン/エポキシ/ゴム系インキ |
塩化ビニル | アクリル/ビニル系インキ |
スチロール系 | アクリル系インキ |
アクリル系 | アクリル/ビニル系インキ |
トリアセテート | アクリル/ビニル系インキ |
ポリエステル | ポリエステル系インキ |
熱硬化性プラスチック | ウレタン/エポキシ系インキ |
金属 | エポキシ系インキ |
紙 | アクリル系インキ |
布 | ウレタン系インキ |
ガラス | エポキシ系インキ |
スクリーンインキで必要な物性
* インキ選定にあたり、被印刷体への接着性から始まり、次に二次物性及び二次加工適性を考慮する必要があります。
二次物性
・ 機械的物性
耐摩耗性、耐摩擦性
・ 熱的物性
耐ブロッキング性、耐熱性、耐寒性、寒熱繰り返し性
・ 物性化学的物性
耐候性、耐光性、耐薬品性、耐環境性、耐内容物性
二次加工適性
成型加工性、ウエルダー加工適性、耐マイグレーション性
安全衛生性
スクリーンインキの使用方法
希釈溶剤
インクタイプごとに各メーカーが標準溶剤 及び 速乾溶剤、遅乾溶剤を用意しています。溶剤の蒸発速度が速い場合 乾燥性は有利ですが、細線・網点などの目詰りや印刷中の粘度上昇は生じます。逆に蒸発速度が遅い場合 版上の粘度変化は少ないが乾燥不良やブロッキングにつながります。
従って、印刷パターンや気温により希釈溶剤を使い分ける必要があります。
粘度
スクリーンインキの印刷粘度は一般的に100ポイズ前後ですが、印刷条件により異なります。印刷面積が広い場合は、レベリング性向上のために粘度を低くし、逆に印刷面積が小さい場合は
パターンの再現性向上のために粘度を高くすると良い。
添加剤
- 2液反応型インキのための硬化剤
- 耐摩擦性補強材
- マット剤
- 消泡剤
- ガラス用途での耐水性向上剤
- ブロッキング防止剤
*これらについては、指定重量比で正確に秤量し良く攪拌し混合させます。又、硬化剤の配合については、可使時間があるため注意が必要です。
トラブル発生の原因と対策
トラブルについては、インクの発泡、版の詰り、ピンホール、パターンの滲み、レベリング不良密着不良、ブロッキング、マイグレーションブリード、変褐色、白化(フラッシング)など様々なトラブルがありますが、早急な原因究明を行った上での、適切な対策が必要です。