スクリーン印刷とは

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概要

スクリーン印刷とは、孔版印刷の一種で、スクリーンメッシュを用いた印刷工法です。

被写体としては、スクリーン紗の網目をインキが通過し印刷物に接着すれば 水のような液体、空気のような気体以外のあらゆる物質に印刷可能と言われています。

素材では、ガラス、金属、布、紙、各種樹脂、各種フィルム等あらゆる素材に印刷可能です。

印刷物の形状では、平面以外の、成形品、円筒形状、凹凸のあるものも可能です。また、電子関係及び特殊な印刷ペーストを厚く塗布する場合等、ステンレス板に精度良く、開口部をくり抜き加工したメタルマスク版の利用も増えてきています。

印刷の精度により、テトロン、ナイロン、ステンレスメッシュ等の版素材を変えることにより、様々な要求に応えることの出来る印刷工法です。

近年では、エレクトロニクス関連の、パターン形成、絶縁体の印刷、厚膜IC等の製造分野に採用され、工業製品を中心に年々用途が広がっています。

メカニズム

一般的にスクリーン印刷工法は、印刷物と版の間に隙間(クリアランス)を設けスキージに適度な圧力を加え インキをスクリーン紗の開口部に押し付けながら移動を行います。

スキージが印刷物に当たりスキージ先端が開口部を通過するとインキがメッシュ目に充填されます。その後、印刷物とスクリーン版が離れる 版離れの際に、版離れと同時にインキが押し出され印刷されます。

スキージの移動により、スクリーンと印刷物が、連続的に版離れを行うことにより、インキが均一に塗布されます。版離れが悪いと、塗布膜厚みのバラツキ原因となり、ピンホールや ムラ等の発生原因となります。

スクリーン印刷の適正

インキの適正

  1. 版上で、適度にローリングされる粘性: インキは、適度な粘性により、版上でローリングすることにより、均一に印刷されます。
  2. 版の開口部に充填され、印刷物に押し出される為の流動性:流動性が無いと、均一に開口部に充填出来ませんので、均一な印刷は望めません。
  3. 印刷後の表面粗さを均一にする適度なレベリング性:印刷物に印刷されたインキが、レベリングすることにより、塗膜が均一に形成されます。
  4. インキが印刷物に留まろうとする適度なチクソ性(チクソトロピー性):印刷後のインキが、レベリング後 自らの力で形状を保持するチクソ性が必要です。
  5. 溶剤型インキの場合 版上での硬化や、開口部のインキ詰りを抑える適度な遅乾性:印刷時には、流動性が必要ですので、乾燥、硬化等の変化を起こさない特性が必要です。

熱硬化型インキ(無溶剤型インキ)や、紫外線硬化型インキを使用することにより、環境にやさしいインクの需要が多くなっています。

スクリーン版の適正

  1. スクリーンメッシュの選定:印刷される線画が、細かい場合は、高メッシュを、塗膜厚みが必要な場合は、低メッシュを選定します。メッシュカウント、線径、メッシュ厚み、オープニング、透過体積等、メッシュのデータ表を基に、スクリーンメッシュを選定します。
  2. 感光乳剤の選定:用途に合わせて選定しますが、水性、油性感光乳剤の他に、ファインパターン用途、厚膜用途、版離れ改善用途等 多種多様な感光乳剤の中から選定します
  3. 感光乳剤厚み:印刷される線画が、細かい場合は、乳剤厚みを薄く、塗膜厚みが必要な場合は、乳剤厚みを厚く形成する
  4. スクリーンメッシュのテンション:印刷の位置精度が必要な場合は、テンションを高くします。テンションは、スクリーンメッシュの素材により、テンションの限界が有ります。
  5. 版枠の強度:版枠の強度により、高テンションの紗張りが可能ですが、デメリットとして、コストアップ取り回しが悪くなる等の弊害があります。

スキージゴムの適正

一般的には、スキージゴムと言われ、素材は ウレタンゴムが主流です。良い印刷は、良いスキージからと言われるように印刷の重要項目です。スキージの材質、硬度、腰、先端形状によって、印刷の善し悪しが決まると言っても過言ではありません。

印刷される線画が、細かい場合は、硬度の硬いスキージを使用します。塗膜厚みが必要な場合は、柔らかいスキージを使用します。先端の真直度が出ていないとスキージ先端の当たり方や、印圧のバラツキが発生します。スキージを研磨する場合、スキージ全体の真直度が必要です。先端形状に関しても、エッジが悪いと、印刷の縦スジやムラが発生します。

印刷条件の適正

  1. スキージ印圧:スキージの押し込み量と、押し込み圧力により、印圧は決定します。印圧は、スキージと印刷物を均一に密着させ、印刷部以外へインキが漏れないようにします。過度の印圧は、スクリーン版にダメージを与え、寸法精度に悪影響を及ぼします。印圧を増すとスキージゴムが変形してアタック角度が増す為インクの吐出量が多くなりますが良い印刷条件とは、言えません。
  2. スキージアタック角度:スキージのアタック角度は 印圧によりスキージが変形しますので、スキージ取り付け角度とアタック角度は異なります。硬度の低いスキージや、腰の弱いスキージを使用する場合でも、スキージが変形します。実際の、インキの充填力は、アタック角度により決定しますので、スキージの二次的変化にも、注意して スキージ角度を設定し、アタック角度の条件を設定する必要があります。
  3. スキージ速度:インキが版の開口部に充填され印刷物に落ち込む時間となります。スキージ速度により、インキの吐出量の微調整を行うことが出来ます。速度が早いと、インキの充填不足による、印刷の欠け、ピンホールの発生の要因となります。速度が遅いと、インキの滲み、印刷塗膜のバラツキが発生する要因となります。高粘度のインキ、ベタ付きのあるインキ、ファインパターン印刷、厚膜仕様のスクリーン版、版離れが悪い等で、スキージ速度を遅くする場合が有ります。速度を早める際には、スキージがインキをしっかり充填するように、印圧を高める必要があります。速度を遅くした場合、スキージが、スクリーンの開口部のインキを掻き取ってしまう為、版上のインキが少なくなりますので、印刷塗膜は薄くなります。
  4. クリアランス幅:版離れの基本要素ですので、適正なクリアランスの設定が必要です。少ないと版離れの悪化、印刷の滲みの要因となります。多いと、寸法精度の悪化、印刷位置の狂い、版のダメージの要因となります。版離れが悪い場合は、クリアランスを多く取ること以外に、オフコン機構を使用することやスキージスピードを遅くすることで 版離れを改善することが出来ます。版離れを改善する手法として、インキの粘度を溶剤で下げることや版のテンションを高くすることも、有効です。
  5. 版の内寸に対する、パターンエリアの面積比:印刷用途により、パターンエリアの面積比は異なりますが、一般的には、版面積の1/4以下が、精度の良いスクリーン版向きです。高精度の要求がある場合、1/9以下の面積比が望ましい。版面積の1/2以下の面積比の製版は、グラフィック用途や、繊維印刷用途であれば、特に問題の出ない範囲で、印刷可能です。

用途

スクリーン印刷は、他の印刷工法では、印刷が困難な被印刷物を中心に、様々な産業製品に利用され又、工業製品を中心に用途が年々広がっています。

近年では、環境問題により 必要な部分に必要な量を印刷するスクリーン印刷への工法見直しや多品種小ロッド対応への優位性が認められています。

工業製品

自動車関連部品、液晶ディスプレイ、電機部品、照明部品、自動販売機、携帯電話、スマートフォン、タブレット、プリント配線板、電子部品、IC回路、面状発熱体、パソコン周辺機部品、アミューズメント製品、光学系部品、IHトップガラス、サニタリー製品、ゲーム機、など

商業製品

点字表示板、工事用表示板、看板、POP、ディスプレイ、ステッカー、標識、旗、ポスターなど

生活用品

スポーツ用品、文房具、バッグ、Tシャツ、玩具、化粧品容器、パッケージ、木工品、ガラス、陶磁器、タオル、革製品など

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