概要
パッド印刷とは、凹版を使用して版上のインキをシリコンパッドに一次転写し、被印刷物に 二次転写を行うオフセット印刷の一種です。 ドイツのタンポ社で印刷機が量産されたことから タンポ印刷と呼ばれることがあります。使用する凹版は、ステンレスをエッチングした金属版とローコストに対応した、樹脂版が有ります。
金属版は耐久性が有り、印刷個数の多い場合に向いており、樹脂版はローコストですが、耐久性に劣るため、多品種少量の場合には樹脂版を選択します。弾力のあるシリコンパッドで印刷するため、平面ばかりでなく多少の曲面や凹凸面にも名入れが可能です。比較的費用が安い印刷方法ですので、ローコスト品への印刷にはパッド印刷がお勧めです。小さな文字やロゴマークなども表現しやすい印刷方法です。
パッド印刷の特徴
凹部の内側にでも印刷出来ます。
シリコンバッドは、柔らかいものを選択することで、凹凸のある立体物への印刷が可能です。
比較的細かい図柄が印刷出来ます。
小さな被印刷物にも細かな印刷が可能です。
多色印刷も可能です。
単色印刷が基本ですが、位置合わせの治具を活用することで、多色印刷が可能です。多色印刷の場合は、その色数分の印刷工程が必要です。
ローコストで作製出来ます。
樹脂版を使用することで、多品種少量の印刷にもローコストで対応可能です。
パッド印刷の用途
- 立体物への印刷
- 二次、三次曲面への印刷
- 凹凸のある印刷面への印刷
- ノベルティー商品への 文字やロゴ印刷
- 球体や凸型の印刷物
- ボトル形状などの、成形品への印刷
- 操作用ボタンやツマミなどの凹凸面の印刷
- 壊れ易い被印刷物への印刷
- 柔らかい布などへの印刷
- その他の印刷工法では、印刷不可能な被印刷物への印刷
パッド印刷が活用されている分野
- 精密機器から電子部品分野
- 電化製品分野
- 光学機器分野
- ゴム・樹脂素材の製造分野
- 木工製品分野
- 日用雑貨など
パッド印刷の注意点
- パッドのサイズが限られているので、広い範囲の印刷は不可です。
- 色ズレの恐れがあるので、多色印刷時には、注意が必要です。
- インクの膜厚が薄いため、下地の影響を受けやすい。
- ベタ柄の表現が難しい。
- 多色の場合、1色につき1版の作成が必要なため、版の費用が割高になります。
- 版のパターンよりも、印刷されたパターンが歪んでしまう。中央部よりも、外側の方が歪みが大きい
その他
UVインキの動向
UVインキをパッド印刷で使用する場合、UVインキは溶剤の揮発性がないためパッド表面にインキが残ってしまうなどの問題がありましたが、現在パッド印刷では、難しいと言われているUVインキも開発されています。
パッド印刷での、UVインキを使用するメリット
- 被膜強度がある
- 環境にやさしい
- 省エネルギー
- 生産性の向上
- 硬化・乾燥時のゴミ付着などの低減
- 素材への熱ストレスの低減
- 設備の省スペース化
- インキ廃棄量の削減
- 溶剤添加などの管理の無駄を削減
- 溶剤型に比べて厚い被膜が印刷可能