概要
プリント基板(PCB プリンテッド サーキット ボード)とは、薄い銅箔が貼り付けられた絶縁体の板に、LSIや抵抗などの部品で電子回路を構成したものをプリント基板と言います。プリント基板には、皮膜が厚く形成されることから スクリーン印刷が多用されています。マザーボード、メモリーモジュールなどのパソコン本体を構成するボード類も、プリント基板です。部品を装着する前の板を、プリント配線板と言います。
絶縁体の表面や内部に電気回路の配線をプリントし、その上に電子部品を取り付けることにより、プリント回路板の機能を持たせることが出来ます。集積回路、抵抗器、コンデンサ等の多数の電子部品を表面に固定し、その部品間を配線で接続することで、電子回路を構成する板状またはフィルム上の部品です。
プリント基板は、厳密には部品を含まない基板だけを指しますが、基板に電子部品を実装した状態も含みます。主に、基材に対して絶縁性のある樹脂を含浸した基板上に、銅箔など導電体で回路(パターン)配線を構成する 「プリンテッド・エレクトロニクス」の一種で、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット、オフセット印刷など様々な印刷技術が駆使されています。
プリント基板の分類
- リジット基板:柔軟性のない絶縁体基材を用いたもの
- フレキシブル基板(FPC):絶縁体基材に薄く柔軟性のある材料を用いたもの
- リジットフレキシブル基板(フレックスリジット基板):硬質な材料と薄く柔軟性のある材料を複合したもの
*フレキシブル基板は薄くて柔軟性があることから、機器に組み込み際に自由度が高く、小型の電子機器などに使われています。コネクタ間を配線するためのフィルム状の配線も機能的にはケーブルですが、フレキシブル基板とも呼ばれています。
プリント基板の材質
リジット基板
- ベークライト基板:紙にフェノール樹脂を含浸したもの
- 紙エポキシ基板:紙にエポキシ樹脂を含浸したもの
- ガラスコンポジット基板:ガラス繊維を重ねて、エポキシ樹脂を含浸させたもの
- ガラスエポキシ基板:ガラス繊維製のクロスを重ねて、エポキシ樹脂を含浸させたもの
- テフロン基板:絶縁際にテフロンを用いたもので非常に高価である。
- アルミナ(セラミックス)基板:アルミナにタングステンなどでパターンを形成/積層したものを焼成して製造するファインセラミックスの一種である。
- 低温焼成セラミックス基板(LTCC)基板:アルミナ基板の高温で焼成させるために配線に銅が使用できない問題を解決した基板
- コンポジット基板:ガラスエポキシ基板を中心として両面にはベークライト基板を形成したもの
- ハロゲンフリー基板:ガラスエポキシ基板と同じ構造で、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン系難燃剤を含まない多層基板
フレキシブル基板
- ポリイミドフィルム
- ポリエステルフィルム
プリント基板の構造による種類
- 片面基板:片面のみにパターンがあるもの
- 両面基板:両面にパターンがあるもの
- 多層基板:ウエハース上に絶縁体とパターンを重ねたもの
- ビルドアップ基板:積層法により一層ずつ層を積み上げ、レーザー加工などにより直径100μm程度の微細な層間接続ビアを形成した、配線密度の高い多層配線板
スクリーン印刷技術が採用されている工程
エッチングレジスト印刷工程
プリント基板の製造工程において、基板を覆うように塗布あるいは貼付けされる物質、またはそうして形成される層のことをレジストと言います。エッチングレジスト印刷は、エッチング工程において、配線として残したい部分の銅に薬剤が接触しないようにスクリーン印刷で覆う工程を言います。
パターンを印刷する場合と、全面をベタ印刷した後、パターン露光、現像により、必要な部分を残す方法が有ります。
ソルダーレジスト印刷工程
はんだ付けが必要な部分だけを銅箔として露出させ、はんだ付けが不要な部分にはハンダが付かないようにプリント板上に形成する熱硬化性エポキシ樹脂皮膜の印刷工程です。UV硬化性樹脂が使用される場合も有ります。
永久レジスト印刷工程
銅パターンを形成したくない部分にレジストを形成し、電解めっきまたは無電解めっきでレジストのない部分にのみめっきを析出させる際にスクリーン印刷でレジストを印刷します。レジスト印刷膜はめっきレジストとして機能すると共に剥離せずにそのままソルダーレジストとして使用するため永久レジスト印刷と言います。
シンポル文字印刷工程
プリント基板で配線パターン形成とレジスト皮膜の形成が終了した最終工程で、部品が実装される前に部品名や記号の印刷をスクリーン印刷で行ないます。この印刷をシンボル文字印刷と言います。
銀スルーホール印刷・銅スルーホール印刷
プリント基板の両面基板で、表裏に貫通したスルーホールに銀ペースト、銅ペーストを印刷することにより、表裏のパターンを導通させる工法をスルーホール印刷と言います。貫通穴へ、導電ペーストを流し込み壁面へコートさせる印刷です。
ビアへの樹脂充填穴埋め印刷
多層基板で、積層する際に ビアに樹脂を充填することが必要です。充填された樹脂に気泡が入り込まないように、印刷する技術が要求されます。
クリームハンダ印刷工程
部品実装には、基板に部品を固定するためにはハンダの印刷が行われます。ハンダの印刷には、はんだとフラックス(松脂)をペースト状にしたクリームハンダペーストをメタルマスク版で必要な部分にクリームハンダを印刷します。部品が実装された後に、リフロー炉で加熱し、ハンダを溶かして部品を固定します。