スクリーン製版とは

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概要

スクリーン印刷で、画像を形成する為の版を、スクリーン製版と言います。近年 スクリーン製版は、写真製版方式で作製される版が一般的です。スクリーンメッシュを、版枠にテンションを掛けて貼り付け、メッシュのクリーニング後に、均一に感光性乳剤を塗布し、乾燥後、露光、現像工程を経て、パターニングします。

露光の際には、ポジフィルムと呼ばれ、現像される部分を隠し開口とする為の原版を使用します。現像は、感光していない部分を取り除く為の、水現像を行います。

スクリーンメッシュは、一般的に、テトロンメッシュと呼ばれる合成繊維と、ステンレスメッシュと呼ばれる金属繊維を使用します。

近年では、スクリーン印刷による、高細線印刷を可能にするための開発が進み、メッシュの高メッシュ化感光性乳剤の高繊細パターニング化が進んでいます。パターニングされる画像により、適切なメッシュ、感光性乳剤の選定が必要となります。

スクリーン製版の役割

スクリーン印刷工法で、スクリーン製版は、印刷物にパターニングを行うために、スキージと印刷物間で、印刷不要な部分を隠すマスクとして、重要な役割を果たします。油性インキを押し出す際に、スクリーンパターニング部が スキージにより擦り付けられますので、耐摩耗性と、インキの溶剤成分に負けない耐溶剤性が必要となります。

水性インキの場合は、耐摩耗性と耐水性が必要です。

スクリーン製版の材料、材質 及び 印刷適正

スクリーン版枠の材質は、木製、アルミパイプ製、アルミダイカスト製があります。布、繊維への印刷は木製版枠、通常印刷には、アルミパイプ製版枠、精密印刷には、アルミダイカスト製版枠が使用されます。

スクリーンメッシュの材質は テトロン、ステンレスが主流です。昔は、シルク繊維で、型紙を貼り付け版としていましたが、現在は使用されていません。印刷パターンにより、メッシュの材質、メッシュカウント、メッシュ線径、感光乳剤を選定します。メッシュの不一致や感光性乳剤の適正が悪いと、印刷エッジの不良や、塗布ムラが発生します。

スクリーン印刷での、スクリーン製版の適正

メッシュ材質

印刷の位置精度が必要な場合に、金属メッシュを選定します。

* 金属ですので、印刷時の伸縮が少ないとされています。

一般的な印刷は、テトロンメッシュを選定します。

* テンションにより、ある程度の位置精度は確保出来ます。

メッシュカウント

印刷画像の細かさ、必要塗膜厚みにより、メッシュカウントを選定します。* 同じメッシュカウントでも、メッシュ線径を選べる品番も有ります。

メッシュ線径

メッシュの糸の太さを言います。線径とオープニングエリアにより、透過体積が算出出来ます。* 透過体積が、理論上の塗膜厚みとなります。

メッシュテション

スクリーンメッシュを、版枠に貼り付ける際の張力を言います。数値管理は、テンションゲージでの管理と引張りエアー圧力で管理されていますが、一般的には、テンションゲージでの管理が良好とされています。テンションが高いと、印刷時の版離れが良くなります。但し、テンションには、メッシュ自体の限界と、版枠の歪みによる、テンション低下が有りますので、適正なテンション設定が必要です。

過度にテンションを上げると、スクリーンメッシュの破断強度の限界を超えてしまい、印刷時に破断してしまいます。テンションが低いと、版離れが悪くなり、インキの塗布厚みのバラツキが発生したり、画像の歪みが発生します。

機械印刷の場合は、テンションは高め、手刷りの場合は、低めで 設定します。どうしても、高テンションの設定が必要な場合は、金属メッシュや、高テンション対応メッシュを使用することも有ります。

感光性乳剤

感光性乳剤は、版のパターニングのインキを塗布しないマスクするための材料です。インキの特性やパターニング画像の繊細度合いにより、選定します。高繊細パターンの場合は、感度の高い感光性乳剤を使用します。ラフなパターンの場合は、ローコストな感光性乳剤も使用可能ですが、印刷枚数により、耐刷性の高い感光性乳剤を使用する場合もあります。

露光

メッシュにコーティングされた感光性乳剤を、ポジフィルムを真空吸着固定し露光します。露光の光源は、紫外線を照射することにより、感光性乳剤を硬化させます。光量は、使用する感光性乳剤に合わせて露光量を設定します。積算光量計と呼ばれる、光のエネルギー量により、管理されています。

規定光量より不足したアンダー露光は、エッジのシャープ性が低下します。規定光量より超過したオーバー露光は、パターンの細りを発生させます。精密パターンの露光の場合、擬似平行光を照射することの出きる フレネル露光機を使用します。

* フレネル露光機は、ゴミ、埃により、ピンホールの発生が懸念されますので、クリーンな環境下での露光が要求されます。

ラフなパターンの露光では、点光源の露光機を使用することも有ります。

現像

露光後のパターン形成のために、水現像が行われます。現像は、高圧洗浄機や、自動現像機にて行われますが、現像スピードや、水圧の管理が出来る自動現像機での現像が良好とされています。現像は スクリーン製版の善し悪しを左右する工程ですので、注意が必要です。

上記の適正を見極める 経験値と実績が良い製版を作製するための、ノウハウとなります。

特殊なスクリーン製版仕様

直間フィルム感光乳剤の仕様

感光乳剤が、事前にコーティングされた特殊なフィルムをメッシュに貼り付ける仕様印刷塗膜の均一性の向上と、印刷エッジがシャープになります。

コーティング表面フラット加工

直接法でコーティングされた感光乳剤の表面に特殊なフィルムを貼り付け表面状態をフラットにする加工仕様印刷塗膜の均一性の向上と、印刷エッジがシャープになります。

感光乳剤の表面を硬膜処理する表面加工仕様

耐刷性の向上とピンホール対策

フッ素処理

感光乳剤に添加剤として混合する仕様と、表面にコーティング処理する仕様印刷インキの転写性と、耐刷性が向上します。表面コーティング仕様は効果が高いですが持続性がありません。混合仕様は効果が少ないですが、持続性があります。

厚膜仕様

インキを厚く印刷する為に、プリント側に感光乳剤を厚くコーティングする仕様厚膜には限界があり 乳剤を厚くするだけでは、塗膜の厚みがバラツキます。選定するメッシュカウントとのバランスが必要です。

薄膜仕様

細かいパターンやインキを薄く印刷する為に、プリント側に感光乳剤を薄くコーティングする仕様薄膜には限界があり 乳剤を薄くすると、耐刷性の悪化、ピンホールの発生を招きます。

スクリーンメッシュへの、表面処理、及び加工

感光乳剤をコーティングする前に、ゴミ、埃を取り去る洗浄の後に、濡れ性を高める薬品を使用したり、メッシュの表面を荒らす加工や処理を行ったりします。*ブラスト処理、プラズマ処理、UV照射処理 等

二重露光

印刷時の、ピンホールの発生を抑える処理で、パターン露光の後に、パターン以外の感光した乳剤に再度露光を行うことにより、感光部分の感光状態をより架橋させるための仕様パターン形成用の、ポジフィルム以外に、パターン部を隠すためのポジフィルムを作製することが必要で、コストは上がってしまいます。

用途別の製版仕様

一般グラフィック用途

  • 版枠:アルミフレーム枠
  • メッシュ素材:テトロンメッシュ
  • 感光乳剤:コストパフォーマンスの高い乳剤

* 耐刷性向上の為の硬膜処理や、品質向上にフラット加工も行います。

精密用途:配線パターン印刷、電子部品印刷、導電性印刷

  • 版枠:アルミフレーム(肉厚の厚い材料)枠、アルミダイカストフレーム枠
  • メッシュ素材:テトロンメッシュ、高テンション対応メッシュ、ステンレスメッシュ、ステンレス板
  • 感光乳剤:高解像度乳剤、直間法感光フィルム

* 特殊仕様の、処理や加工も行います。

捺染用途:布生地、Tシャツ、旗、ノボリ

  • 版枠:アルミフレーム枠、木製枠
  • メッシュ素材:テトロンメッシュの低メッシュ品
  • 感光乳剤:コストパフォーマンスの高い乳剤 油性 水性

機能性、光学系の用途

  • 版枠:アルミフレーム(肉厚の厚い材料)枠、アルミダイカストフレーム枠
  • メッシュ素材:テトロンメッシュ、高テンション対応メッシュ、ステンレスメッシュ、ステンレス板
  • 感光乳剤:高解像度乳剤、直間法感光フィルム

* 特殊仕様の、処理や加工も行います。

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