概要
シート(樹脂板)成形とは、その名の通り シート状のプラスチックを加熱し、加工可能な柔らかさにした後、真空や圧空を掛けてシートを型の形状通りに成形する方法を言います。シート成形は、真空成形、圧空成形、熱プレス成形、フリーフロー成形、ツインコンポジット成形など様々な成形方法があります。
成形方法の種類
真空成形
押出成形シートをクランプしたまま加熱軟化させ後、冷却固化前に型で、シートと型の空間を真空状態にして、型に密着させて成形し所定の形状を得る方法です。真空成形後、仕上げ加工し 製品にする成形方法です。さまざまな表面状態を再現出来ます。
圧空成形
圧空成形は、シャープなデザインを表現出来ます。真空成形とならんで広く利用されている熱成形の一成形方法です。シートをクランプしたまま加熱軟化させ、圧縮空気の力(3~6kg/c㎥)で型に密着させ所定の形状を得る成形方法です。
熱プレス成形
熱プレス成形とは、シートを加熱炉で加熱軟化させ、軟らかい間に凹凸型で加圧(空圧、油圧)し、所定の形状をえる成形方法です。形状用途により、凹凸の型はシートを挟んで全面で密着させる必要はなく、透明品に最適です。
フリーブロー成形
航空機のバブルキャノピーのように、アクリル樹脂やポリカーボネートのような熱可塑性樹脂の平板を加熱、軟化させて内部に空気を送り込むことで泡状に膨らむことで成形する。ドーム状の物体の成形に適します。表面の平滑性に優れるので鏡面仕上げが不要、底部の型枠のみが必要で雄型、雌型が不要です。
寸法、厚みの精度がやや劣り、生産性がやや低く、加工形状がドーム状のものに限定されます。
ツインコンポジット成形
熱可塑性樹脂シート二枚を同時に成形することにより二重構造の製品が出来る成形方法です。真空成形では出来なかったリブ構造も出来、高面積でしかも剛性のある薄肉形状品の成形が可能。二重壁内部にはウレタン発泡等が入れられ高剛性・高耐熱製品を成形することが出来ます。
シート成形に用いられる材質
シート成形可能な材質は、PMMA、PC、PP、PE、ABS、AES、HIPS、PET、PVCなどの一般的な材質の他に軟質、硬質、発泡シート、不織布等 種類の異なった材質を複合した複合多層材料、及びスクリーン印刷済の材料にもシート成形が可能です。
シート成形型の種類
試作での、成形加工では、木型 もしくは、人工木型を使用します。量産では、樹脂方または金型を用います。又、それぞれに凹型凸型の2種類があり、製品の特徴に合わせてどちらか一方の型を使用します。
成形型 凹型・凸型の特徴
凸型の特徴
- 成形品内側の寸法精度を上げたい
- 成形品全体の肉厚を出来る限り均等化したい
- 成形品中央部の肉厚を大きくしたい
- 複合多層材料を成形したい
- 金型費用を低減したい
凹型の特徴
- 成形品外側の寸法精度を上げたい
- 成形品外側のデザインを重視したい
- 商品のデザイン自体が深絞りの場合
シート成形工法の活用
シート成形は、加熱し軟化させたプラスチックシートから様々な形状を作ることが出来ます。真空成形、圧空成形、プレス成形が代表的な成形方法とされ、多品種小ロット対応が可能な成形方法として高く評価されています。
射出成形では、金型の償却負担が重くなるような、投影面積の大きな製品、小ロット向きの製品、試作品の作成などで コスト的メリットを発揮でき、デザイン変更や設計変更が発生した場合も比較的型の修正が行える点などからも コスト的メリットが得られます。