概要
厚膜印刷とは、基材へインクの塗膜を厚く形成することにより、任意の箇所を隆起させる印刷です。平面である印刷物に立体感と質感が生まれます。スクリーン印刷での厚膜印刷の特徴として、他の印刷工法よりも、厚い塗膜を形成することが出来ます。他の工法と組み合わせることも可能で、写真画像などに組み合わせることや、水滴や凹凸のある素材感を表現ずることが出来ます。
プリンタブルエレクトロニクス分野でも セラミック製の基板へ導体や抵抗ペーストを厚膜印刷することで、耐熱、耐溶剤性、寸法変化の少ない積層構造のセラミック回路基板となります。
セラミック回路基板上に 厚膜印刷を行うことにより、抵抗体を膜形成でき実装部品を減らすことが出来ることから、小型・高密度化が図れます。パッケージ基板への、樹脂の充填にも厚膜印刷の技術が活用されています。
厚膜印刷により、防湿性、密閉性、ノイズ防止などの効果も発揮します。部品実装用 ハンダペーストの印刷や プリント基板の有底ビアへの穴埋め充填、スルーホールへの永久穴埋めにも、スクリーン印刷の厚膜印刷技術が活用されています。
厚膜印刷の用途
- 点字用途
- 液晶導光板ドット用途
- 電化製品銘板の糊、接着剤塗布用途
- インモールド、インサート成形用インキ流れ防止用途
- 貼り合わせ接着剤塗布用途
- タッチパネルドットスペーサー用途
- ポッティング、部分樹脂盛用途
- セラミック回路基板用途
- ハイブリットIC基板用途
- パッケージ基板絶縁樹脂充填
- 部品実装用ハンダペースト塗布
- プリント基板穴埋め用途
- 車載基板用途
スクリーン印刷の適正
スクリーン印刷で厚膜印刷を行う場合、厚膜を維持するために 粘度が高く、チクソトロピー性の高いインキ(ペースト)を使用する必要があります。膜厚みを多くする場合、UV硬化型インキや、高粘度インキなどを使用します。他、必要印刷厚みに応じた スクリーンメッシュ版、メタルマスク版を選択することが必要です。
必要膜厚みに到達しないペースト特性の場合には、複数回の印刷を行うこともあります。
スクリーンメッシュを使用して厚膜印刷を行う場合、低メッシュを使用しますが、表面の凸凹が悪影響を与える場合は、低メッシュで厚膜を印刷し乾燥・硬化後、塗膜上に高メッシュでの印刷を行い、表面状態をフラットにするための複数回印刷を行う場合も有ります。
ペーストを 良好な粘度、チクソトロピー性にする為に 特殊な添加剤を混合し改質を行うことで厚膜印刷に適さないインキを厚膜で印刷することも可能です。